【「大島」ちがい・・・】

その年はインターン生を積極的に中国地方の農家さんの取材に一人ずつで向ってもらった。電車・車・バスなどさまざまな手段で、自分たちで地図を片手に行くのだが・・・1ヶ月の長期インターン生の話。結構明るく積極的だったので、島根から広島、そして山口の周防大島に取材に。私は事務所にいて、連絡を取り合いながら一つ一つの取材が終わるたびに報告を受け、次の指示を出す。そろそろ到着の電話がかかってきてもよいはずだがと思っていたのにかかってこない。やっと夜22時頃、電話がかかってきた。「あのー大島なんですけど、広島の大島についてしまいました!」
東京から初めて田舎にきて、慣れない運転だけど、必死で辿り着いたら知らない土地。時間も遅く、とっても不安でむしろ怖かっただろうなー、と思う。でも彼女は、真夜中にこう言った。「今から、山口の大島に向かいます!」。尊敬。
【ヒールはご法度、分かってます!】

こちらは別の女性。インターンに来る前に、農業をするので動きやすい服装で、と持ち物について連絡した。「了解です!」元気に東京からやってきた。結構美人で都会の若者、という感じ。しかし都会の女の子、高いヒールを履いて、靴を持参していた。「靴はいてくればよかったのに」と言うと、「東京で恥ずかしくて靴なんてはけないですよ!」。これにはみんな、びっくり。人の価値観は多様だが、靴が恥ずかしいというのには衝撃が走った。もちろん帰りも、高~いヒールを履いて帰っていった。田舎での経験は彼女を強くしただろうなと期待したい。
【お嬢様ぶりはほどほどに!!】
ご両親が有名な料亭をやっているという。明るくて積極的。だけど1日彼女と一緒に過ごした子に少し疲れが見える。なんか空気が読めていない。ある日、県内の大学から学生たちが15人やってきて畑作業を手伝ってくれた。彼らをチームにわけて、ブルーベリーのネットをはったり、畑に堆肥をまいたり、種をまいたり・・・。彼女も担当をもって明るく元気に指導していた。途中から土砂降りになり、声が聞こえないくらい雨が降る。風邪を引くといけないからとメンバーみなで帰りに温泉に行くことにした。みな1日の畑仕事と雨でものすごく疲れていた。1時間後ここに集合、と決め、お風呂に入った。1時間後彼女は現れず、メンバーに聞くと地元のおばあちゃんとお風呂で話しているとか。みな疲れ果てていつの間にか待合室でうたた寝をしてしまった。さらに1時間近くたって、彼女がでてきた。とってもすがすがしい顔で。インターンで大事なことは、時間を守ること。みなも怒りを通り越して、あきれて苦笑いで「時間を守ろうね」、と言っただけ。
【おじ様も、まだまだ頑張るぞ!】
60代のおじ様を受け入れたときのこと。インターンのルールで日報を書くというのがあるのだが、彼はPCを触ったことがなかった。どうにか日報を書いてもらいたいと思い、最初は手書きでFAXしてもらったり、代わりに他のメンバーが日報を書いたりしていた。
少しなれたところでPC打ちを1から教え、メールアドレスを作り、太い指で、タイピング講座が始まった。その後、携帯の方が気軽だと言うので携帯メールで日報が送られてくるようになった。「明日は畑に、あがりま」というメール。「す」なのか「せん」なのか、肝心なところがない!ので、結局、電話をした。
【アーティストの卵は、ばあちゃんの元気もデザインする】
中山間地域で繁茂し困ったもんの竹で下駄を作ろうと、東京の芸術系の学生が来た。しかし数日後、彼は少し行き詰っていたので、他のメンバーが農家にソーラーパネルをとりつけに行くついでに、竹の性質やどういう下駄を作るといいかヒントを得るため現場で突撃インタビューしたら?ということになった。突然一人で農家さんに声をかけて、取材ができるかどうか、といえば、なかなか最初は難しいのだが、思いつめているよりは良い。そうおもい、リスクもあったが挑戦してもらった。
結果、その辺のおばあちゃんに竹やぶを案内してもらい、竹の活用やその土地の歴史など、いわゆるばあちゃんの知恵を聞いたと、目を輝かせて帰ってきた。それから1年、そのばあちゃんが、「またあの子は来てくれんかねー」といっていた、若者と話すのがとても楽しかったらしい。地域のばあちゃん、じいちゃんが先生となり、地域が教室となり、インターンは色々な事を学ぶ。だけど彼っらは与えられるばかりでなく、地域に元気も与えているのだと実感した。


あなたも当てはまっち...